栽培と加工について

この島を選んでくれた、赤にんにく。

真鍋島でにんにくを栽培するにあたって、沖縄にんにく、平戸にんにく等暖地系にんにくを試験的に作ってみました。
栽培技術が未熟で、試したにんにくがことごとく腐敗しました。
そんななか、唯一「大島赤丸にんにく」だけが生き残ってくれました。
「この島を選んでくれたにんにく」という想いを強くし、このにんにくを原種に、真鍋島赤にんにくの栽培を続けています。

遺伝的な記憶を、思い起こさせる。

にんにくは、もともと中央アジアの荒れ地に生育していた作物だと言われています。ですから、自分が荒れ地で生きたという記憶が遺伝的に組み込まれています。だから、にんにくの栽培においては、この遺伝的な荒れ地の記憶、つまり自己の生命力を高めるような栽培方法が肝要になります。

また、にんにくの加工は、アクで勝負をするということ、もう少し具体的に言うと、そのにんにくの最高の味をひき出せるようなアク抜きの加減をつかめるかどうかということ。わたし達のしょうゆ漬けは、アク抜きをしてしょうゆに漬け込んだ後、2年以上経ったものを販売しています。

原初的な生命力を引き出す。

にんにく栽培で荒れ地の記憶を引き出すためには、やはり過酷さの疑似体験が必要だと思います。そして、一般的には耕作に不向きな「擬土(でもつち)」に分類されるはずの真鍋島の真土が持っている力は、不毛とも思える土が、作物の生育にとっての厳しさの疑似体験をさせて、その作物が本来持っている原初的な生命力を引き出す、ということにあると思います。

長い時間の中で待ち続ける。

2年経っても辛いしょうゆ漬をそのままビンの中に寝かせて、4年が近づい頃、辛さが薄れ、にんにくの旨みが出ていました。「アクで勝負」というのは、人工的なアク抜きだけでなく、長い時間の中で待ち続けることも含む、とその時知りました。そして真鍋島赤にんにくはしょうゆの中で、4年経っても変わらぬ食感を維持できるにんにくなのです。

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